心配性|心配は準備の才能だ、ただし出口のない心配はただの消耗だ
ビジネスで言うと
心配性とは、先々の悪い可能性を考え続けてしまう傾向のことだ。経営者にとって、リスクを先読みする力は本来、強みである。資金繰りの悪化、取引先の倒産、人の離職。起きる前に気づけるのは経営者の仕事だ。問題は、心配に出口がないときである。対策を立てた後も同じ不安を何度も巡らせ、夜中に目が覚め、まだ起きていない損失に気分が支配される。心配が準備に変換されている間は資産だが、変換が止まった心配は、集中力と睡眠を奪う負債に変わる。心配性そのものが悪いのではない。悪いのは、心配と検討の区別がつかなくなることだ。
原因
心配が止まらなくなる背景には、不確実な状況を頭の中で何度も試算すれば安心できる、という心理の働きがあるとされる。実際には、考えることと備えることは別で、考え続けるほど不安の対象が具体化し、余計に怖くなる場合がある。また、経営者は最終判断を一人で抱えやすく、懸念を外に出す機会が少ない。抱えたままの心配は頭の中で増幅しやすい。疲労や睡眠不足が重なると、悪いシナリオのほうに注意が寄りやすくなることも、心配が長引く要因とされる。
対策
心配を止めるのではなく、心配に仕事をさせる仕組みが要る。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 書き出す | 心配事を頭から紙へ移し、一覧にする |
| 分ける | 「今できる対策がある」ものと「ない」ものに仕分ける |
| 決める | 対策があるものは期限と担当を決め、実行表に入れる |
| 捨てる | 対策がないものは「起きたら考える」と明記して閉じる |
この四つを終えた心配は、検討として完了している。それでも頭に戻ってきたら、新しい情報がない限り再検討しないと決める。また、心配を考える時間帯を日中に寄せ、寝る前の資金繰りの試算は避ける。相談相手に数字ごと話してしまうのも有効だ。外に出した心配は、頭の中ほど大きくならない。
心配の扱いに慣れてくると、漠然とした不安と、具体的な懸念の違いが分かるようになる。具体的な懸念には必ず対策か期限があり、漠然とした不安には終わりがない。この違いを見分けられた時点で、心配は経営者を支配するものではなく、経営者が使う道具に戻る。道具として使える心配は、リスク管理という立派な経営能力そのものだ。
心配は、対策に変換された瞬間に経営の武器になる。変換されない心配は、今すぐ紙に出して頭から追い出せ。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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