承認欲求

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承認欲求|認められたい気持ちが、値引きと無理な受注を連れてくる

ビジネスで言うと

承認欲求とは、他者から認められたいという欲求のことだ。誰にでもある自然な感情だが、経営では形を変えて損失になる。取引先に嫌われたくなくて値引きに応じる、部下に慕われたくて厳しい指示を出せない、SNSの反応が気になって発信の軸がぶれる、同業者の集まりで見栄を張って無理な投資をする。承認欲求が強い経営者は、顧客満足ではなく「嫌われないこと」を基準に判断し始める。その判断は短期的には人間関係を滑らかにするが、利益と組織の規律を静かに削っていく。認められることと、事業が成り立つことは別の話だ。

原因

承認欲求が強まる背景には、評価の物差しが外側にしかない状態があるとされる。売上や利益といった自分の基準が曖昧だと、相手の表情や反応が唯一の成績表になる。また、経営者は孤独な立場で、社内では本音の評価を得にくい。その飢えが、取引先やSNSからの承認で埋めようとする動きにつながる場合がある。過去に認められなかった経験や、成果を出しても評価されなかった環境も、欲求を強める要因になりやすいとされる。

対策

欲求を消す必要はない。承認の供給先と、判断の基準を分けることだ。

  • 値引きや条件変更は、その場で答えず、自社の基準表に照らして決める
  • 経営判断の評価軸を、数字で先に決めておく(利益率、工数、継続性など)
  • 認められたい気持ちが動いたら、判断を一日置くルールにする
  • 承認は、顧客の継続率や紹介件数など「結果としての評価」で受け取る
  • 本音を話せる経営者仲間を持ち、承認の供給先を取引の場から外す

部下への接し方も同じだ。好かれる上司を目指すと、言うべきことが言えなくなる。信頼される上司は、好かれることより一貫していることを優先する。承認は結果についてくるもので、先に取りに行くものではない。

SNSとの付き合い方にも、この線引きは効く。投稿の反応数に一喜一憂する状態が続けば、発信は「伝えたいこと」から「反応が取れること」へ静かに置き換わっていく。反応は参考指標に留め、発信の軸は自社の顧客に役立つかどうかで決める。承認の供給先を事業の外に持ち、判断の基準を事業の中に戻す。その分離ができた経営者は、他人の表情に振り回されずに済む。

承認は経営の燃料にはならない。燃料は利益と信頼の積み重ねで、承認はその排気のようなものだ。

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