睡眠不足|削っていい経費と削ってはいけない資本を、経営者は間違えている
ビジネスで言うと
睡眠不足とは、睡眠の量や質が足りず、心身に影響が出る状態のことだ。経営者は忙しさを理由に睡眠を削りがちだが、削っているのは時間ではなく判断力である。寝不足の日は、部下の報告に苛立ちやすくなり、交渉で粘れず、面倒な案件を先送りし、甘い見積もりを見逃す。本人は「回っている」と感じていても、周囲から見れば別人級に判断が粗くなる。睡眠は休息であると同時に、翌日の意思決定の質を決める生産設備だ。設備投資を怠る経営者が工場には厳しいのに、自分の睡眠には無頓着でいる矛盾は、笑い話では済まない。
原因
経営者の睡眠不足は、本人の意識だけの問題ではない。夜の会食、深夜に届く連絡、寝る直前まで続く数字とのにらめっこ。頭の興奮が冷めないまま布団に入れば、寝つきも浅さも悪化しやすいとされる。考え事を抱えたままだと、眠りの中で目が覚める場合もある。また、「短く寝ても平気なタイプだ」と思い込む経営者は多いが、慣れは感覚を鈍らせるだけで、判断力の低下そのものには別だと指摘されることもある。飲酒で寝つきを助ける習慣も、睡眠の質との関係が取り上げられる要因だ。
対策
睡眠を根性論から外し、予定と環境の設計で守る。
- 起きる時刻を固定し、寝る時刻はそこから逆算する
- 寝る一時間前は、数字とメールから離れる時間と決める
- 考え事は布団ではなく、メモ帳に書き出して頭から降ろす
- 夜の会食の日は、翌朝の重い決断を入れない
- 昼の短い仮眠は、午後の判断を守る手段として計画に入れる
特に、重要な契約や人事の判断を「寝不足の翌日」に置かないルールは効果が大きい。どうしても眠りの浅さや日中の強い眠気が続く場合は、体の不調のサインとして受け止め、放置しないことが大切になる。
睡眠は、忙しい経営者ほど後回しにされやすいが、後回しにした代金は必ず判断の質で請求される。見積もりの甘さ、交渉での譲歩、人への当たりの強さ。その多くは能力の問題ではなく、眠りの借金として現れている。予定表に睡眠の枠を先に入れることは、甘えでも贅沢でもない。翌日の経営の精度を予約する行為だ。その発想の転換が、睡眠不足との付き合い方を根本から変える。
睡眠を削る経営者は、経費ではなく資本を取り崩している。判断力は、眠った時間の分だけしか戻ってこない。
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