カテゴリー: 語録

  • 圧迫感

    圧迫感|締切と資金繰りに追われる感覚は、経営者の日常を静かに削る

    ビジネスで言うと

    圧迫感とは、外からの要求や期限に押され、逃げ場がないように感じる感覚です。経営の場面では、支払い日が重なる資金繰り、納期が迫る現場、金融機関への説明、部下や取引先からの同時多発的な相談として現れます。一つひとつは対応可能でも、重なると「常に何かに追われている」状態になります。

    この感覚が続くと、経営者の思考は守り一辺倒になりやすくなります。新しい提案を考える余白が減り、部下への声かけは短く、強くなり、会議は確認と詰問ばかりになります。圧迫感は本人の問題に見えて、組織全体の空気を変えてしまうのです。

    また、圧迫感を紛らわせるための飲酒が増えたり、帰宅しても仕事のことが頭から離れなかったりすると、回復する時間がさらに削られます。追われる感覚と疲れが、互いを強め合う形です。

    原因

    仕組みとして、人は「やるべきことが、自分の処理能力を超えている」と感じたときに圧迫感を覚えます。実際の業務量だけでなく、期限が曖昧なこと、優先順位が決まっていないこと、いつ連絡が来るか分からないことが、感覚を重くします。見通しの立たなさが、圧迫感の正体である場面は少なくありません。

    心理面では、経営者が「全部自分が背負わなければならない」と抱え込むほど、圧迫感は強まります。弱音を吐ける相手が少ない孤独さ、部下に任せきれない不安、断ることへの罪悪感が、案件を手元に溜め込みます。

    胸の苦しさなど体の不調を伴う場合や、つらさが長く続く場合は、経営判断の前に体の状態を確認してください(医師へ相談して)。

    対策

    圧迫感への対策は、気分転換よりも先に「見える化」と「切り分け」です。

    週初めの圧迫感・棚卸し手順

    1. 抱えている案件を、期限のあるもの/ないものに分けて書き出す
    2. それぞれを「自分しかできない」「部下に任せられる」「断る・延期できる」に仕分ける
    3. 今週やることを絞り、残りは日付を決めて先送りを明記する
    4. 資金繰りなど数字の案件は、カレンダーではなく表で支払日と入金日を並べる
    仕分け 対応の原則
    自分しかできない 時間を区切って最優先で処理する
    任せられる 期限と判断基準を渡して任せる
    断る・延期できる 早めに相手へ連絡し、代替日を提示する

    抱えている総量が見えるだけでも、追われる感覚は扱える対象に変わります。

    圧迫感に慣れた経営者は強いのではない。仕分けを怠った経営者が、静かに摩耗していくのである。


    今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で丁寧に読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

  • 息苦しさ

    息苦しさ|胸が詰まる感覚は、追い詰められた経営のサインかもしれない

    ビジネスで言うと

    息苦しさとは、呼吸がしにくい、胸のあたりが詰まるような感覚を指す言葉だ。経営の文脈で現れるのは、決断の前夜、資金繰りの見通しが立たない週末、部下との重い面談の直前など、「逃げ場のない場面」で多い。体は正直で、心が処理しきれない重圧を、息の詰まりとして先に知らせることがある。ただし、息苦しさには体の病気が関係する場合もある。こころのせいだと決めつけることはできない。長引く、繰り返す、体を動かしたときに強くなるといった場合は、経営の問題として抱え込まず、体の側からも確認してほしい(医師へ相談して)。

    原因

    心理的な仕組みで言えば、強い緊張が続くと呼吸は浅く速くなりやすく、胸や肩に力が入り続けることで、息苦しさとして感じられることがあるとされる。経営者は緊張の「続く時間」が長い。問題が解決するまで何週間も気が抜けず、夜も頭が回り続け、睡眠が浅くなる。その蓄積が、ある日突然の詰まり感として表に出ることもある。もう一つの原因は、感情を表に出せない立場だ。不安も怒りも弱さも、社長の前では飲み込む。その飲み込んだ分が、体の感覚として残る場合は少なくない。

    対策

    その場でできることと、根本に手を入れることを分ける。

    場面 具体策
    詰まりを感じた瞬間 椅子に深く座り、肩を下ろし、吐く息を長めに意識する
    決断の前夜 悩みを紙に書き出し、「今夜決めること」と「明日でいいこと」を分ける
    週単位 睡眠、飲酒、運動、休みの量を記録し、詰まりが出た日と並べて見る
    繰り返す場合 記録を持って相談する。体かこころかは自分で決めつけない(医師へ相談して)

    記録は判断材料になる。「どの場面で詰まるか」が見えれば、対策は場面ごとに設計できる。詰まりやすい場面が資金繰りの確認日だと分かれば、前日に数字を整理し、当日は一人で抱えず経理や顧問と共有する、といった具体策につながる。見えないまま我慢だけを重ねるのが、一番もったいない。

    息が詰まるのは弱さではない、詰まるまで追い込んだ経営の設計の方を疑え。

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  • ASD

    ASD|「空気が読めない」は短所か。特性と組織のすれ違いを読み解く

    ビジネスで言うと

    ASDは、対人関係やこだわりの特性を持つ発達障害の一つを指す言葉である。経営の場面で表面化するのは、「空気を読む」ことへの期待との摩擦だ。取引先の本音を察しにくい、部下の感情の機微に気づきにくい、自分の決めた手順へのこだわりが強い。その一方で、筋の通った判断、ブレない基準、専門分野への深い集中力といった、経営に効く強みを持つ人も多い。

    大切なのは、ASDを「コミュニケーションが下手な人」という雑なラベルにしないことだ。起きているのは能力の問題ではなく、情報の受け取り方と処理の仕方の違いである。経営者自身が特性を持つ場合も、部下が持つ場合も、この理解の有無で組織の回り方はまるで変わる。なお、診断は専門機関で行うものである(医師へ相談して)。

    原因

    ASDの特性は、脳の働き方の生まれつきの特徴に関わるものとされる。後天的な性格の問題ではなく、本人の努力で「空気を読む力」を後から付ける、といった単純な話でもない。特性の出方は人によって大きく異なり、一括りにできない点も特徴である。

    経営の現場で摩擦が起きる原因の多くは、特性そのものよりも「暗黙の了解」に頼った運営にある。言わなくても分かるはず、察してほしい、その前提が強い組織ほど、特性のある人間は力を発揮しにくい。逆に、指示が具体的で、基準が言語化された組織では、摩擦は大きく減る。つまり問題の一部は、組織側の設計にある。

    対策

    摩擦を減らす鍵は、察し合いの廃止と言語化である。

    • 指示は「いい感じに」ではなく、期限・量・合格ラインを数字と文章で出す。誰にでも効く改善でもある
    • 会議の決定事項はその場で文字に残す。言った言わないの摩擦を、記録で消す
    • 変更は事前に伝える。急な予定変更への弱さは、予告一つで大きく緩和できる
    • 雑談や空気の読み合いを評価項目にしない。成果と手順で評価する基準に寄せる
    • 特性への向き合い方に迷う場合は、本人が専門家に相談できる環境を整える。本人任せにしない(医師へ相談して)

    「空気を読む力」に頼る組織は、空気の読めない人間を排除して終わる。基準を言葉にできる組織だけが、多様な特性を戦力に変えられる。


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  • お酒との距離

    お酒との距離|経営者の酒は、付き合いの道具か、逃げの出口かを点検する

    ビジネスで言うと

    お酒との距離とは、飲酒の量・頻度・付き合い方という、酒との関係性を指す言葉である。経営者にとって酒は、断ち切るか否かの二択ではない。接待、祝いの席、地域の付き合い。酒のある場が仕事の一部である以上、問いは「飲むか飲まないか」ではなく「主導権がどちらにあるか」になる。

    点検すべきは、酒が「場を円滑にする道具」から「気持ちを切り替える唯一の手段」に移っていないかだ。考えたくない夜に飲む、眠るために飲む、イライラしたら飲む。その使い方が定着すると、酒量は静かに増え、翌朝のパフォーマンスと判断の質が少しずつ削られていく。

    原因

    経営者の酒が増える背景には、入口の多さと出口のなさがある。入口は、付き合いと接待という正当な理由。出口は、量を指摘してくれる人の不在である。立場上、誰も社長の杯を止めない。さらに、酒は孤独と不安への即効薬として働く。責任の重さを一人で抱える夜、酒は最も手近な「頭の電源オフ」になる。

    もう一つの要因は、飲酒が習慣の回路に入ることだ。帰宅、風呂、晩酌。この順序が固定されると、意志ではなく手順として飲むようになる。眠るための飲酒は、寝つきを助ける一方で眠りの質を下げるとも指摘され、疲れが取れない朝が、また次の晩酌を呼ぶ。量や回数を自分で制御しにくい感覚がある場合は、早めに専門の窓口へつながることが大切である(医師へ相談して)。

    対策

    距離の点検は、禁酒の宣言ではなく、事実の記録から始める。

    • 一週間、飲んだ日・量・理由をメモする。感覚ではなく、回路の形を見るためである
    • 「眠るため」「考えないため」の飲酒が増えていたら、それは酒の問題である前に、心の負荷の問題として扱う
    • 付き合いの場では、最初の一杯をノンアルコールにする、終わりの時間を先に決めるなど、場を壊さない工夫を標準装備にする
    • 休肝日は「体調が悪い日」ではなく、予定として先に置く
    • 減らそうとして減らせない日が続く場合は、それを意志の失敗と読まず、相談の材料にする(医師へ相談して)

    酒との距離は、酒量では測れない。「飲まない日を、自分で選べるか」で測るものだ。選べなくなっていたら、距離はもう詰まっている。


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  • 睡眠不足

    睡眠不足|削っていい経費と削ってはいけない資本を、経営者は間違えている

    ビジネスで言うと

    睡眠不足とは、睡眠の量や質が足りず、心身に影響が出る状態のことだ。経営者は忙しさを理由に睡眠を削りがちだが、削っているのは時間ではなく判断力である。寝不足の日は、部下の報告に苛立ちやすくなり、交渉で粘れず、面倒な案件を先送りし、甘い見積もりを見逃す。本人は「回っている」と感じていても、周囲から見れば別人級に判断が粗くなる。睡眠は休息であると同時に、翌日の意思決定の質を決める生産設備だ。設備投資を怠る経営者が工場には厳しいのに、自分の睡眠には無頓着でいる矛盾は、笑い話では済まない。

    原因

    経営者の睡眠不足は、本人の意識だけの問題ではない。夜の会食、深夜に届く連絡、寝る直前まで続く数字とのにらめっこ。頭の興奮が冷めないまま布団に入れば、寝つきも浅さも悪化しやすいとされる。考え事を抱えたままだと、眠りの中で目が覚める場合もある。また、「短く寝ても平気なタイプだ」と思い込む経営者は多いが、慣れは感覚を鈍らせるだけで、判断力の低下そのものには別だと指摘されることもある。飲酒で寝つきを助ける習慣も、睡眠の質との関係が取り上げられる要因だ。

    対策

    睡眠を根性論から外し、予定と環境の設計で守る。

    • 起きる時刻を固定し、寝る時刻はそこから逆算する
    • 寝る一時間前は、数字とメールから離れる時間と決める
    • 考え事は布団ではなく、メモ帳に書き出して頭から降ろす
    • 夜の会食の日は、翌朝の重い決断を入れない
    • 昼の短い仮眠は、午後の判断を守る手段として計画に入れる

    特に、重要な契約や人事の判断を「寝不足の翌日」に置かないルールは効果が大きい。どうしても眠りの浅さや日中の強い眠気が続く場合は、体の不調のサインとして受け止め、放置しないことが大切になる。

    睡眠は、忙しい経営者ほど後回しにされやすいが、後回しにした代金は必ず判断の質で請求される。見積もりの甘さ、交渉での譲歩、人への当たりの強さ。その多くは能力の問題ではなく、眠りの借金として現れている。予定表に睡眠の枠を先に入れることは、甘えでも贅沢でもない。翌日の経営の精度を予約する行為だ。その発想の転換が、睡眠不足との付き合い方を根本から変える。

    睡眠を削る経営者は、経費ではなく資本を取り崩している。判断力は、眠った時間の分だけしか戻ってこない。

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  • 燃え尽き症候群

    燃え尽き症候群|燃え尽きるのは情熱がある証拠ではなく、止まれなかった証拠だ

    ビジネスで言うと

    燃え尽き症候群とは、張りつめた状態が長く続いた末に、心身が燃え尽きたように動けなくなる状態を指す言葉で、バーンアウトとも呼ばれる。経営の場面では、創業期の無理、立て直しの必死さ、部下を守る責任が積み重なった先に現れる。それまで回していた仕事に急に意味を感じられなくなる、朝から強い疲労感がある、人への関心が薄れて言葉が冷たくなる。厄介なのは、燃え尽きるのは手を抜いてきた人間ではない点だ。真面目に背負い続けた人間ほど、限界の手前で止まる合図を見逃す。現場も、経営者が燃え尽きれば止まる。指示は出なくなり、決断は遅れ、残った人間への負荷が連鎖していく。燃え尽きは個人のダウンで終わらない、会社の機能そのものが痩せていく現象だ。

    原因

    仕組みは、消耗と回復の収支が崩れることだ。睡眠、休日、達成感といった回復の入口が削られ、責任、叱責、資金の圧力といった消耗だけが続くと、心身の余力が底をつくとされる。心理面では、「休むと会社が止まる」「弱音は経営者の口から出せない」という思い込みが、助けを求める行動を遅らせる場合がある。さらに、成果が出ない時期が長引くと、努力と結果のつながりが見えなくなり、意欲そのものが削られていく。燃え尽きは気合の不足ではなく、負荷の設計ミスとして現れることが多い。

    対策

    対策は、根性を足すことではなく、回復を予定に入れることだ。

    • 止まる日を先に決める:休日も会議と同じく予定として固定し、ずらさない
    • 背負う量を数える:案件、面談、決断の数を週単位で見て、上限を決める
    • 分ける:自分でしかできない仕事と、任せられる仕事を書き分ける
    • 戻す:睡眠と食事を「余裕があれば」ではなく、最優先の予定として扱う
    • 話す:数字の相談相手とは別に、状態を話せる相手を一人持つ

    強い疲労感や気分の落ち込みが続く、仕事が手につかない状態が続く場合は、回復の工夫だけで抱え込まず、専門の窓口につながることも選択肢になる。立て直しの局面ほど、休む決断は後回しにされがちだ。だからこそ、上限と休止の線は元気なうちに決めておく必要がある。

    燃え尽きた経営者を救うのは新しい情熱ではない、燃え尽きる前に止まれる仕組みだ。

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  • ネット依存

    ネット依存|スマホを握りしめた経営者の判断は、情報ではなく刺激に支配されている

    ビジネスで言うと

    ネット依存とは、インターネットの利用を制御できなくなる状態を指す言葉である。経営者の手元には、売上速報、SNSの反応、業界ニュース、部下からの連絡がひっきりなしに届く。情報収集は経営の仕事だが、気づけば何時間も画面を眺め、肝心の考える時間が消えている状態は、仕事ではなく依存の形に近い。夜遅くまで画面を見続ければ睡眠が削られ、翌日の判断力に響く。短い刺激に反応し続ける脳の使い方は、腰を据えた検討や、退屈な数字の読み込みを苦手にしていく。利用時間を自分で区切れない状態が続く場合は、使い方の工夫だけで抱え込まず、専門の窓口に相談することも選択肢になる(医師へ相談して)。

    原因

    仕組みとしては、通知や更新のたびに小さな新しさが届き、脳がその刺激を求め続ける形になりやすいとされる。SNSの反応数やニュースの見出しは、不確実で断続的な報酬として働き、「もう少しだけ」が積み重なる。心理面では、経営の不安から目をそらす手段として、画面の情報が手軽な逃げ場になる場合がある。逆に、情報を逃すことへの恐れが強い経営者ほど、常に接続していないと落ち着かなくなる。道具の便利さと使う側の不安が重なったとき、利用は仕事の範囲を超えていく。

    対策

    制限はアプリの我慢比べではなく、接続の設計で作る。

    設計 具体策
    通知 緊急連絡以外は通知を切り、確認する時刻を決める
    時間帯 就寝前の1時間は画面から離れ、充電場所を寝室の外に置く
    入口 SNSやニュースはアプリではなく、時間を決めた確認に寄せる
    代替 考える仕事は紙とペンから始め、調べ物だけを画面で行う

    まず1日の画面利用時間を端末の機能で確認し、事実として把握する。数字を見たうえで、減らすのは「仕事の情報」ではなく「反応を見に行く回数」から始める。それでも睡眠や仕事への支障が続き、制御の感覚が戻らない場合は、早めに専門機関へ相談する(医師へ相談して)。経営者に必要なのは全ての情報ではなく、判断に使う情報だけを、選んで取りにいく力である。

    接続し続けることが情報通なのではない。切る時間を設計できる経営者だけが、画面ではなく事業を見続けられる。

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  • あいまい耐性

    あいまい耐性|白黒つけられない局面に耐える力が、経営の粘りを決める

    ビジネスで言うと

    あいまい耐性とは、答えがすぐに出ない、情報が揃わない、正解が一つに定まらない状況でも、過度に不安にならずにいられる力のことです。経営はまさに、その連続です。新規事業が伸びるか分からない時期、採用した人材が育つかどうか見極める期間、取引先の返答を待つ時間、制度や市況が変わる途中の局面。どれも白黒はすぐにはつきません。

    この耐性が弱いと、経営者は早く安心したい気持ちから、早すぎる撤退、逆に根拠の薄い拡大、部下への細かすぎる指示に走りやすくなります。反対に耐性がある経営者は、不確かさを抱えたまま観察を続け、決めるべき期限までは結論を保留できます。

    あいまい耐性は、生まれつきの性格だけで決まるものではありません。情報の持ち方、期限の切り方、相談の仕方といった運営の工夫で、実務として支えることができる力です。

    原因

    仕組みとして、人の頭は不確かな状態を負荷として感じ、早く結論を出して負荷を下げようとします。白黒つけることで一時的に安心が得られるため、情報が不足していても「決めた」という感覚に引っ張られやすいのです。疲労や睡眠不足が重なると、この傾向は強まります。

    心理面では、経営者としての責任感が裏目に出る場面があります。「曖昧なままにしておくのは経営者の怠慢だ」と考えると、保留そのものが許せなくなります。また、過去に判断を遅らせて痛い目を見た経験があると、同じ失敗を避けようとして、別の場面でも結論を急ぎがちになります。

    不安感が強く続き、仕事や生活に支障が出ている場合は、耐性の問題として片付けず、専門家に相談してください(医師へ相談して)。

    対策

    鍵は、あいまいさを「放置」ではなく「管理下の保留」に変えることです。

    あいまい案件の管理表

    項目 書き方
    案件名 何が決まっていないのかを1行で書く
    分かっていること 確定した事実だけを列挙する
    分かっていないこと 不明点を列挙し、推測と分ける
    情報が揃う条件 何が、いつ判明するのかを書く
    決める期限 この日までは結論を出さないと決める
    暫定対応 期限までの間、被害を広げない手を打つ

    運用の手順は、①週に一度、この表を見直す。②新しい情報が入ったら、事実の欄だけを更新する。③期限前に結論を迫られたら、表を見せて「決める日はここです」と説明する。

    保留に期限と条件が付いた瞬間、あいまいさは不安の種から、経営の管理対象に変わります。

    決められない経営者が弱いのではない。決める日まで耐えられない経営者が、会社を振り回すのである。


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  • 意思決定疲れ

    意思決定疲れ|夕方の判断が雑になるのは、気合ではなく消耗の問題だ

    ビジネスで言うと

    意思決定疲れとは、決断を繰り返すうちに、判断の質が落ちていく状態を指す言葉だ。経営者の一日は決断の連続である。採用、価格、支払い、クレーム対応、部下の相談、その全てに「決める」負担がかかる。朝は慎重に比較検討できた案件が、夕方には「もう、どちらでもいい」「先方の言うとおりで」と流れていく。これは能力の低下ではない。判断に使う集中力や注意が、使うたびにすり減っていく消耗の問題として捉えた方が、対策が立つ。重要な契約ほど、疲れた時間帯に決めるべきではない理由はここにある。

    原因

    仕組みは単純で、決断の「量」と「重さ」が一日に集中しすぎていることだ。細かい承認、割り込みの相談、その場での即答要求が積み重なると、本来は重い決断に残しておくはずの力が、些細な判断で先に使われる。心理面では、疲れてくると人は「現状維持」か「先延ばし」か「丸投げ」に寄りやすいとされる。さらに睡眠不足や空腹、飲酒の翌日など、体のコンディションが悪い日は消耗が早い。決断の質は、その人の才覚だけでなく、その日の残量で決まる部分が大きい。

    対策

    決断を減らし、重い決断を守る。この二つを仕組みにする。

    守り方 具体策
    減らす 金額や範囲の基準を決め、基準内は部下の判断で進めてよいと明示する
    固める 定型の判断はチェック項目化し、迷う時間をなくす
    守る 重い決断は午前など頭の残量がある時間に置き、夕方に持ち込まない
    遅らせる 「即答しない」を正式な手順にし、持ち帰りの期限だけその場で決める

    判断表も有効だ。案件ごとに「影響の大きさ」「取り返しのつきやすさ」「締め切り」を書き、三つとも高いものだけを自分がその場で決める。それ以外は基準か、翌日か、部下へ回す。決断を手放すのではなく、配分する発想だ。夕方に重い案件が来たら、決めるのではなく「決める日時を決める」ところまでで止める。それも立派な経営判断である。

    優れた経営者は決断が速いのではない、雑な決断をしない時間に、重い決断を置いているだけだ。

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  • 笑顔うつ

    笑顔うつ|人前では笑えるのに、一人になると沈む経営者の危険なサイン

    ビジネスで言うと

    笑顔うつとは、人前では笑顔でいられるのに、内面では気分が沈んでいる状態を指す言葉である。医学的な正式名称というより、表と内の落差を表す言い方として使われる。経営者にとって、この落差はむしろ「通常装備」に近い。社員の前では明るく、取引先の前では余裕を見せ、家に帰る車の中で一人、深く沈む。

    厄介なのは、周囲から見えないことだ。笑えているから大丈夫だろう、と本人も周囲も判断してしまう。そのため発見が遅れやすい。笑顔は回復の証拠ではない。経営者という役割は「笑って見せること」が仕事の一部であり、その演技力の高さが、かえって状態の悪化を隠してしまう。

    原因

    根にあるのは、役割と本音の乖離である。「経営者は弱さを見せてはいけない」という思いが強い人ほど、感情を出す場所を失っていく。出せない感情は消えるのではなく、内側に溜まる。一人の時間に一気に押し寄せるのは、その清算である。

    もう一つは、評価の二重構造だ。会社の数字が良い日は笑顔が作れる。だが数字の裏で資金繰りに悩み、人の問題を抱え、将来に確信が持てない。表の成功と内の不安の差が開くほど、笑顔との落差は深くなる。睡眠の乱れや食欲の変化が重なってきたら、心だけでなく状態全体の点検が必要になる(医師へ相談して)。

    対策

    対策の第一歩は、笑顔の裏側を「一人で処理するもの」から外すことである。

    • 本音を出せる相手を、会社関係の外に一人確保する。経営者同士の集まり、相談先、旧友。役職の要らない関係を持つ
    • 一日の終わりに、その日の気分を10点満点で記録する。点が低い日が続いたら、それは感覚ではなくデータとして扱う
    • 「平気なふり」が必要な場面の数を数える。演技の出番そのものが過多になっていないかを見る
    • 休みの日まで笑顔の役割を持ち込まない。家族の前でまで経営者でいる必要はない
    • 沈む時間の長さ、眠れなさ、食欲の変化が続く場合は、早めに相談する(医師へ相談して)

    笑えることは、元気なことと同じではない。経営者の笑顔が一番上手くなったときこそ、内側の点検が要る。


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