ADHD|「不注意」と「衝動」が経営者の強みにも事故にもなる理由
ビジネスで言うと
ADHDは、不注意・多動性・衝動性を特徴とする発達障害の一つを指す言葉である。経営の文脈で大事なのは、この特性を持つ経営者が決して少なくないという事実と、特性そのものは「能力の低さ」ではないという点だ。新しいことへの好奇心、行動の速さ、リスクを取る力。起業家に必要な要素と、ADHDの特性は重なる部分がある。
一方で、事務処理の抜け漏れ、締切の失念、衝動的な発言や買い付けが、会社の信用と資金を傷つける場面も出てくる。問題は特性の有無ではなく、特性に合った仕事の設計があるかどうかだ。診断の有無は専門機関で確認するものであり、この記事はその代わりにはならない(医師へ相談して)。
原因
ADHDの特性は、脳の注意や衝動の調整の働き方に関わるものとされ、生まれつきの要因が大きいと考えられている。努力不足や育て方の問題ではない。経営者になってから急に現れるものでもなく、本人は子どもの頃から「忘れっぽい」「落ち着きがない」と言われ続けてきた場合も多い。
経営という仕事は、この特性を増幅も緩和もする。自分で予定を組める自由は、合えば強みになる。だが、経理や行政手続きのような「面白くないが重要な作業」は後回しになりやすく、締切直前の修羅場が常態化しやすい。周囲が「社長はそういう人だ」と片づけるほど、本人も会社も、仕組みで補う機会を逃していく。
対策
特性は直すものではなく、活かし方と補い方を設計するものだ。
- 締切と予定は一つのカレンダーに集約し、前日に通知が来る仕組みを入れる。記憶に頼らない構造を作る
- 事務・経理・日程調整は、得意な人間に任せるか外注する。経営者が全部持とうとするほど、抜け漏れは増える
- 衝動が事故になる領域(大きな発注、契約、人事の発言)には「24時間置く」などの自社ルールを置く
- 作業は短い単位に区切り、終わりを見える形にする。集中は「気合」ではなく「区切り」で引き出す
- 特性の有無や対処に迷う場合は、一人で結論を出さず、専門の窓口で確認する(医師へ相談して)
特性は消すものではない。衝動を行動力に、不注意を仕組みで補う設計に変えた経営者だけが、特性を武器にできる。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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