怒り|経営者の怒りは武器にもなるが、向ける先を間違えれば組織が死ぬ
ビジネスで言うと
怒りとは、不当さや妨害に対して生じる、防衛のための強い感情を指す言葉である。無理な値引き要求、約束を破る取引先、裏切りに近い退職。経営の現場には、怒りが生まれる場面が幾つもある。
怒りそのものは悪ではない。不正や不誠実に対して怒れることは、会社の線引きを守る力でもある。問題は、怒りの「出し方」と「向ける先」だ。部下の小さなミスに爆発する、家族に八つ当たりする、感情のままメールを送る。こうした出し方は、守るはずの組織の信頼を削っていく。怒りは強いエネルギーである分、扱いを間違えたときの代償も大きい。
原因
怒りの裏には、たいてい別の感情が隠れている。不安、焦り、疲労、裏切られた感覚、そして「分かってもらえない」という孤独である。特に経営者は、資金繰りや将来への不安を誰にも見せられない。その圧力が限界に近づいたとき、些細な出来事が引き金になって怒りとして噴き出す。
体の状態も関係する。睡眠不足、空腹、飲酒の翌日は、怒りの沸点が下がることが知られている。つまり怒りっぽさは、人格の問題である前に、その日のコンディションと抱えている圧力の量の問題である場合が多い。
対策
怒りを消すのではなく、噴き出す前に「翻訳」する習慣を持つ。
- 怒りを感じたら、その場で結論を出さない。メールやメッセージは下書きで一晩置く
- 「何に腹が立ったのか」を一文で書く。書けないときは、怒りではなく疲れが本体のことが多い
- 怒りの裏にある本命を確かめる。不安なのか、失望なのか、体力の限界なのか
- 人ではなく行為と仕組みに向ける。「なぜミスしたか」ではなく「なぜミスが起きる仕組みか」を問う
- 睡眠と食事を削った週は、重要な叱責や交渉を入れない
- 部下を叱る前に、「これは会社の基準の話か、自分の機嫌の話か」を一度だけ自問する。機嫌の話なら、その場では言わない。基準の話だけを、短く、事実で伝える
怒れる経営者は強い。だが怒りに使われる経営者は、組織から静かに人を失っていく。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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