ウェルビーイング|社長の調子が、会社の数字より先に会社の未来を決める
ビジネスで言うと
ウェルビーイングとは、心身と社会的に満たされた、良好な状態を指す言葉である。福利厚生の話として語られることが多いが、経営の文脈ではもっと手前の話である。経営者自身の調子が、会社の判断の質、組織の空気、取引先との関係の全てに直結するからだ。
調子の良い経営者の会社は、空気が明るく、判断が速く、人の定着もよい。逆に、経営者が疲弊した会社では、数字に出るより先に現場の活気が失われていく。ウェルビーイングは「余裕のある会社の贅沢」ではなく、業績の土台である。社員の健康経営を語る前に、まず社長自身の状態が問われる。
原因
経営者のウェルビーイングが崩れる原因は、仕事の「量」だけではない。むしろ大きいのは、仕事と自分自身の境界のなさである。休日も頭は資金繰りのこと、夜中もメールの通知、家族との時間でも次の会議のことを考えている。体は休んでいても、心のスイッチが切れない状態が続けば、回復は起きない。
もう一つは、役割への没入である。「経営者である自分」以外の自分の居場所がなくなるほど、会社の不調がそのまま自己否定になる。人間関係の広さ、体を動かす習慣、仕事と無関係の楽しみ。そうした「会社以外の柱」が細るほど、全体の安定は一本足になっていく。
対策
ウェルビーイングは気分ではなく、設計で作る。
- 睡眠、運動、食事の3点を「経営のインフラ」として予定表に入れる。空いた時間に捻出するものではない
- 仕事の通知を切る時間帯を決める。夜と休日の線引きは、経営者が自分に引くしかない
- 会社以外の柱を最低一つ持つ。趣味、地域の集まり、学びの場。会社が揺れても自分が倒れない構造を作る
- 月に一度、自分の調子を数字で振り返る。睡眠時間、休んだ日数、イライラした回数。感覚ではなく記録で見る
- 調子の低下が続く場合は、事業計画の前に心身の状態の確認を優先する(医師へ相談して)
会社は経営者の器以上にはならない。器を広げる投資の筆頭は、設備でも広告でもなく、経営者自身の調子である。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。
