悪循環|頑張るほど、会社が重くなる回り方
ビジネスで言うと
悪循環とは、一つの悪化への対応が、次の悪化を呼んでしまう回り方である。経営で言えば、資金繰りが苦しいから値引きで受注し、薄利で忙しくなり、人も時間も足りなくなってミスが増え、信用が下がってさらに値引きが必要になる、といった流れだ。部下との関係でも起きる。不安だから細かく確認し、部下は委縮して報告が減り、情報が来ないからさらに不安になって確認が増える。誰も悪意はないのに、全体が重くなっていくのが悪循環の特徴である。
原因
悪循環の起点は、目の前の痛みを止めるための「その場では合理的な対応」であることが多い。値引きも、確認の増加も、経営者自身が残業で埋めることも、その瞬間は正解に見える。ところが、その対応が疲労、情報不足、任せられない構造といった副作用を生み、次の問題の原因になる。
心理の面では、苦しいときほど視野が短期になる。長期の仕組みを直す余裕がないため、即効性のある手ばかり選んでしまう。加えて「これだけやっているのに」という感覚が強まると、やり方自体を見直す発想が持ちにくくなる。商談の場でも同じで、焦って条件を譲るほど次の交渉でも譲る前提で臨まれやすくなり、資金繰りの不安が判断をさらに短くしていく。回っているのはお金だけではなく、時間と信用と、経営者自身の余力でもある。
対策
悪循環は、気合いでは抜けられない。回り方を描いて、切る場所を一つ決めることが先決である。
悪循環を断つための手順:
- 紙に「困りごと → 自分の対応 → その副作用 → 次の困りごと」を矢印でつないで書く
- 矢印の中で、自分で変えられる対応を一つだけ丸で囲む
- その対応を、真逆ではなく「少しだけ弱める」形に変える(確認頻度を下げる、値引き前に条件を付ける等)
- 変えた結果を、期間を決めて見直す日を予定に入れる
ポイントは、一度に全部を直そうとしないことだ。一か所が変われば、回り方全体の速度が落ちる。そこに余白が生まれて、初めて次の手が見えてくる。
悪循環から抜ける人は、最初から正解を当てた人ではない。回り方を外から見て、一か所だけ手を入れた人だ。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。同じ問題が繰り返されるといった個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。
