インナークリティック|頭の中の「お前はダメだ」という声は、事実ではない
ビジネスで言うと
インナークリティックとは、頭の中で自分を責め続ける内なる批判の声を指す言葉である。「あの商談、詰めが甘かった」「部下の失敗は自分の指導のせいだ」「この程度で経営者を名乗るな」。失敗のたびに、あるいは何もない夜にさえ、その声は容赦なく響く。
この声は、向上心の裏返しに見える。しかし実際には、反省とは性質が違う。反省は「次に何を変えるか」で終わるが、インナークリティックは「自分はダメだ」という人格の否定で終わる。前者は行動を生むが、後者は消耗だけを生む。経営者の判断の質は、この声との付き合い方で大きく変わる。
原因
この声の多くは、過去の環境で身についたものである。厳しい上司の言葉、失敗を許さない空気、成果でしか評価されなかった経験。そうした外側の基準が、いつの間にか内側の声として再生され続けるようになる。
経営者という役割は、この声を強めやすい。最終責任は全て自分、比べる相手は成功した同業他社、休む間もなく次の課題が来る。真面目で責任感の強い人ほど、声のボリュームは上がる。つまりこの声の大きさは、その人の欠陥ではなく、背負ってきた責任の重さの裏返しでもある。
対策
声を消そうとするより、声と事実を分ける訓練をする。
- 批判の声が響いたら、その内容を紙に書き出す。頭の中の声は絶対的に聞こえるが、文字にすると「一つの意見」に格下げできる
- 書いた内容を「事実」と「解釈」に分ける。数字や出来事は事実、「ダメだ」は解釈である
- 部下や信頼する相手に同じ相談をされたら何と言うか、を自分にも適用する。他人には渡せる公平さを、自分にも渡す
- 反省は「次に変える行動を一つ決める」までで打ち切る。それ以上は反省ではなく自責である
- 声が強く、眠れない、気分の落ち込みが続くといった状態が重なる場合は、一人で処理しようとしない(医師へ相談して)
自分を責める声の大きさは、実力の証明ではない。経営者の仕事は、自分を裁くことではなく、次の一手を決めることだ。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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