予期不安

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予期不安|まだ何も起きていないのに負ける経営者は、本番より前に体力を使い切っている

ビジネスで言うと

予期不安とは、まだ起きていない出来事への不安が先行することを指す言葉である。経営の場面では、来週のプレゼン、来月の支払い、まだ来ていないクレームへの心配が、数日前から頭の中を占拠する形で現れる。準備は進むどころか眠れなくなり、当日は疲れた状態で本番を迎える。実際に起きた問題より、起きるかもしれない問題の方が長く苦しめるのが予期不安の特徴だ。不安を先取りしても、リスクは減らない。減るのは本番で使えるはずの集中力と体力だけである。部下への指示も悲観に寄り、まだ起きてもいない失敗への謝罪や言い訳から話が始まるようになる。

原因

仕組みは、脳が未来の脅威を現実のように先行処理することにあるとされる。曖昧な予定ほど想像の余地が大きく、最悪の結末まで自動で補完されやすい。過去に似た場面で失敗した経験があると、その記憶が呼び水になり、「また同じことになる」という予測が強まる場合がある。心理面では、完璧に備えなければ安心できないという構えも要因になる。全ての可能性を潰そうとすると確認作業が際限なく増え、不安は減るどころか「まだ備えが足りない」という感覚を残し続ける。情報の少なさと時間の長さが、不安を育てる餌になる。

対策

対策は、不安を消すことではなく、不安が暴れる範囲に柵を作ることだ。

柵の作り方 具体策
時刻を決める 心配する時間は1日15分までと決め、それ以外はメモに移して閉じる
分けて書く 起きた事実、起きる可能性、今日できる準備を3列に分ける
準備に上限 チェック項目を先に決め、終わったら追加の確認をしない
体を先に整える 本番前日は睡眠を優先し、夜の想像の時間を物理的に短くする

強い不安が繰り返し現れ、仕事や生活を圧迫する状態が続く場合は、工夫だけで抱え込まず、専門の窓口に相談することも選択肢になる。本番への備えは必要だが、備えの名を借りた想像の反芻は備えではない。その線引きが、経営者の体力を守る。

予期不安に負けるのではない、先に戦いすぎて本番に残っていないだけだ。

今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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