自己効力感

カテゴリ:

自己効力感|「自分ならできる」は才能ではなく、積み上げた証拠で決まる

ビジネスで言うと

自己効力感とは、「自分ならできる」と思える感覚のことだ。経営の現場では、新規事業への踏み出し方、値上げ交渉の粘り、厳しい場面での踏ん張りにそのまま現れる。能力が同じでも、自己効力感が高い経営者は挑戦の回数が多く、失敗しても立て直しが速い。逆に低いと、実力はあるのに安い仕事を受け続けたり、決断を先送りしたりする。つまり自己効力感は、気持ちの問題ではなく、挑戦の回数と成功体験の在庫の問題だ。在庫が減れば慎重になりすぎ、在庫が増えれば攻められる。

原因

自己効力感は、生まれつきの性格だけで決まるものではないとされる。大きく影響するのは、実際にやり切った経験の積み重ねだ。小さくても「決めたことをやり切った」という体験が積もると感覚は育ち、逆に大きな失敗や、立て続けの頓挫が重なると下がりやすい。また、周囲の評価に振り回される環境や、完璧でなければ成功と認めない基準も、在庫を減らす要因になる。比較対象が大きすぎる成功者ばかりだと、自分の達成が見えにくくなる場合もある。

対策

効くのは、気合ではなく「勝てる大きさ」に仕事を切ることだ。

  • 大きな目標は、今日中に終わる単位まで小さく分ける
  • 終わったら記録に残し、達成を目に見える形にする
  • 失敗した案件は「能力不足」ではなく「条件と手順」の問題として分解する
  • 比較する相手は昨日の自分に固定し、他社の数字は参考情報に留める
  • 部下にも小さな成功を設計し、組織全体の挑戦回数を増やす

特に有効なのは、週に一度、完了した仕事だけを並べて見る時間だ。未完了のリストは焦りを生むが、完了のリストは証拠になる。自己効力感は励ましでは育たない。証拠でしか育たない。

部下の自己効力感も、同じ仕組みで動く。いきなり大きな仕事を任せて潰すより、段階を刻んで成功を経験させるほうが、挑戦できる人材が育っていく。経営者の仕事は、自分の証拠の在庫を増やすことと、組織全体が証拠を積める仕組みを作ることの両方にある。在庫の管理を怠れば、攻めるべき局面で全員が守りに入る組織になる。攻めの姿勢とは、気分の問題ではなく、在庫管理の結果なのだ。

「できる」と思える経営者は強いのではない。できると言えるだけの証拠を、毎日積んでいるだけだ。

今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です