強迫性障害|頭から離れない考えと確認の繰り返しが、経営の時間を奪うとき
ビジネスで言うと
強迫性障害は、頭から離れない考えと、繰り返しの行為に苦しむ病気を指す言葉である。鍵を閉めたか何度も確認する、書類の数字が気になって作業が進まない、手を洗う行為が止められない。経営の場面では、送金を何度も見直す、契約書の確認が終わらない、メールを送る前に何十回も読み返す、といった形で現れることがある。
大事なのは、これを「几帳面」「慎重」と混同しないことだ。慎重さは本人が選べるが、強迫の繰り返しは本人にも止められない。時間が奪われ、苦痛が伴い、日常生活に支障が出る。そこまでの状態は、性格の話ではなく、相談と治療の対象になる話である(医師へ相談して)。
原因
原因は完全には解明されていないが、脳の働きに関わる要因が関係するとされ、本人の意志の弱さや性格の問題ではない。強いストレスや生活の変化をきっかけに表面化することもある。不安を打ち消すための確認や儀式的な行為が一時的に安心を生むため、「不安→確認→一時的な安堵」の回路が強化され、繰り返しが固定されていく仕組みが指摘されている。
経営者にとっては、責任の大きさが症状と結びつきやすい。金額の大きい送金、契約、個人情報。間違えれば会社に実害が出る領域だからこそ、「確認しなければ」という思考が膨らみやすい。本人は「経営者として当然の慎重さだ」と解釈してしまうため、受診や相談が遅れることも少なくない。
対策
この状態への対処は、根性論の正反対、つまり「専門家につながること」が中心になる。
- 確認や繰り返しの行為に、一日の中で多くの時間が奪われているなら、それ自体を相談の材料にする(医師へ相談して)
- 「もっと注意すれば治る」という方向に努力を向けない。注意の強化は、回路の強化につながりかねない
- 業務側では、確認工程を「人の目」から「仕組み」へ移す。二重チェックの担当を分ける、限度回数を決めるなど、確認が無限に続かない設計にする
- 家族や社員が行為を手伝う形(何度も確認に付き合う等)は、かえって固定化させる場合がある。対応に迷えば、専門家の助言を得る(医師へ相談して)
- 相談先は、医療機関や公的な相談窓口が入口になる。状態を言葉にして伝えることから始める
確認の繰り返しは、慎重さの勲章ではない。時間が奪われ、苦痛があるなら、それは相談してよい病気のサインだ。抱え込むな。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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