トラウマ

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トラウマ|過去の衝撃に経営判断を乗っ取らせるな

ビジネスで言うと

トラウマとは、強い衝撃体験が心に残り、後々まで影響することを指す言葉だ。経営で言うと、大きな倒産危機、裏切り、事故、ハラスメント、災害といった出来事の記憶が、似た場面に触れた途端によみがえり、現在の判断を過去の恐怖で染めてしまう状態である。融資の話になると過度に身構える、特定の人物や場所を避ける、些細なミスにも体が強く反応する。過去の教訓と、過去に縛られることは違う。その線引きが曖昧になると、守りの判断が事業の機会まで閉ざしてしまう。

原因

衝撃的な体験は、記憶として整理される前に、強い感情や体の反応と結びついて残る場合があるとされる。そのため、似た音、言葉、状況に触れただけで、当時の緊迫感が現在に重なって感じられることがある。経営者は「もう終わった話だ」と頭で処理しがちだが、心身の反応は理屈だけで消えるとは限らない。避けることで一時的に楽になっても、避ける範囲が広がると、営業、人事、資金調達といった本来必要な行動まで狭まる場合がある。つらい反応が続き、生活や仕事に影響が出ていると感じるときは、抱え込まないことが大切だ(医師へ相談して)。

対策

まず、反応が起きる場面を「弱点」ではなく「引き金」として記録する。何がきっかけで、体と気持ちがどう動き、判断がどう傾いたかを分けて書く。

  • 引き金になる場面を事前に想定し、会議や交渉の進め方を決めておく
  • 強い反応が出た直後に、重い決断をその場で下さない
  • 信頼できる相手に、出来事ではなく「今起きている困りごと」から話す
  • 避け続けて仕事の範囲が狭まっている場合は、支えを受けながら少しずつ扱う

無理に思い出して乗り越えようとする必要はない。扱い方が分からない反応は、専門の相談先で安全に整理するほうが現実的である(医師へ相談して)。部下や家族に同じ反応が見えるときも、出来事の詳細を聞き出そうとしない。今困っている場面だけを聞き、業務の進め方や負担の配分を一緒に変える。その距離感が、信頼を壊さず支える形になる。反応を知ることは、弱点を暴くことではなく、仕事の進め方を現実に合わせる材料を得ることだ。

過去の衝撃を教訓に変える経営者は強くなるが、過去の恐怖に舵を渡したままでは、現在の一手はいつまでも打てない。

今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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