自責

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自責|全部を自分のせいにする経営者は、原因の半分を見落としている

ビジネスで言うと

自責とは、失敗や問題を必要以上に自分のせいにする傾向のことだ。経営者は最終責任者であるため、自責が強くなるのは自然な面もある。取引先の撤退、部下の退職、売上の低下。そのたびに「自分の判断が悪かった」「もっと早く動くべきだった」と抱え込む。責任感と自責は違う。責任感は次の一手を生むが、過剰な自責は視野を狭め、睡眠を削り、判断を鈍らせる。さらに、全部を自分の責任にすると、仕組みや市場の変化といった本当の原因の改善に手が届かなくなる。優しさでも誠実さでもなく、経営判断のノイズだ。

原因

自責が強まる背景には、結果をすべて自分の統制下にあると思い込む心理があるとされる。経営者は権限が大きい分、「やれば防げたはずだ」という後付けの思考に引っ張られやすい。過去の情報は結果を知った後では鮮明に見えるため、当時は見えなかったはずの兆しまで「見逃した」と感じてしまう。また、責任を一手に引き受ける姿勢が周囲に評価されてきた経験があると、自責が習慣化する場合もある。真面目さが強い人ほど、この回路に入りやすい。

対策

必要なのは反省ではなく、原因の仕分けだ。問題が起きたら、紙に三つに分けて書く。

区分 問い
自分の判断 当時の情報で、別の選択が現実的だったか
仕組み 人が変わっても同じ失敗が起きる構造になっていないか
外的要因 市場、相手先、タイミングなど、統制できない要素は何か

この仕分けを経て初めて、直すべき一点が見える。仕分けなしの反省は、ただ自分を削る作業になる。また、反省の時間に上限を設けることも有効だ。考える時間を区切れば、自責は検討に変わる。部下の失敗まで背負い込みそうになったら、「本人の課題」と「支援すべき課題」を分ける。全部を背負う経営者の下では、部下も育たない。

なお、自責の強さは日によっても変わる。疲れている日や睡眠が浅い日ほど、物事を自分の責任に寄せて考えやすい。だからこそ、重い問題の検討は、体調の整った時間帯に回す配慮も要る。感情が荒れている夜に結論を出すと、仕分けではなく自分への裁きで終わってしまう。冷静な時間に、紙の上で淡々と分ける。その作業の繰り返しが、自責を責任感へ戻していく。

責任を引き受けることと、自分を責め続けることは別物だ。経営者に必要なのは後悔ではなく、仕分けの精度だ。

今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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