お酒との距離|経営者の酒は、付き合いの道具か、逃げの出口かを点検する
ビジネスで言うと
お酒との距離とは、飲酒の量・頻度・付き合い方という、酒との関係性を指す言葉である。経営者にとって酒は、断ち切るか否かの二択ではない。接待、祝いの席、地域の付き合い。酒のある場が仕事の一部である以上、問いは「飲むか飲まないか」ではなく「主導権がどちらにあるか」になる。
点検すべきは、酒が「場を円滑にする道具」から「気持ちを切り替える唯一の手段」に移っていないかだ。考えたくない夜に飲む、眠るために飲む、イライラしたら飲む。その使い方が定着すると、酒量は静かに増え、翌朝のパフォーマンスと判断の質が少しずつ削られていく。
原因
経営者の酒が増える背景には、入口の多さと出口のなさがある。入口は、付き合いと接待という正当な理由。出口は、量を指摘してくれる人の不在である。立場上、誰も社長の杯を止めない。さらに、酒は孤独と不安への即効薬として働く。責任の重さを一人で抱える夜、酒は最も手近な「頭の電源オフ」になる。
もう一つの要因は、飲酒が習慣の回路に入ることだ。帰宅、風呂、晩酌。この順序が固定されると、意志ではなく手順として飲むようになる。眠るための飲酒は、寝つきを助ける一方で眠りの質を下げるとも指摘され、疲れが取れない朝が、また次の晩酌を呼ぶ。量や回数を自分で制御しにくい感覚がある場合は、早めに専門の窓口へつながることが大切である(医師へ相談して)。
対策
距離の点検は、禁酒の宣言ではなく、事実の記録から始める。
- 一週間、飲んだ日・量・理由をメモする。感覚ではなく、回路の形を見るためである
- 「眠るため」「考えないため」の飲酒が増えていたら、それは酒の問題である前に、心の負荷の問題として扱う
- 付き合いの場では、最初の一杯をノンアルコールにする、終わりの時間を先に決めるなど、場を壊さない工夫を標準装備にする
- 休肝日は「体調が悪い日」ではなく、予定として先に置く
- 減らそうとして減らせない日が続く場合は、それを意志の失敗と読まず、相談の材料にする(医師へ相談して)
酒との距離は、酒量では測れない。「飲まない日を、自分で選べるか」で測るものだ。選べなくなっていたら、距離はもう詰まっている。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。飲酒との付き合い方など、個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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