あいまい耐性|白黒つけられない局面に耐える力が、経営の粘りを決める
ビジネスで言うと
あいまい耐性とは、答えがすぐに出ない、情報が揃わない、正解が一つに定まらない状況でも、過度に不安にならずにいられる力のことです。経営はまさに、その連続です。新規事業が伸びるか分からない時期、採用した人材が育つかどうか見極める期間、取引先の返答を待つ時間、制度や市況が変わる途中の局面。どれも白黒はすぐにはつきません。
この耐性が弱いと、経営者は早く安心したい気持ちから、早すぎる撤退、逆に根拠の薄い拡大、部下への細かすぎる指示に走りやすくなります。反対に耐性がある経営者は、不確かさを抱えたまま観察を続け、決めるべき期限までは結論を保留できます。
あいまい耐性は、生まれつきの性格だけで決まるものではありません。情報の持ち方、期限の切り方、相談の仕方といった運営の工夫で、実務として支えることができる力です。
原因
仕組みとして、人の頭は不確かな状態を負荷として感じ、早く結論を出して負荷を下げようとします。白黒つけることで一時的に安心が得られるため、情報が不足していても「決めた」という感覚に引っ張られやすいのです。疲労や睡眠不足が重なると、この傾向は強まります。
心理面では、経営者としての責任感が裏目に出る場面があります。「曖昧なままにしておくのは経営者の怠慢だ」と考えると、保留そのものが許せなくなります。また、過去に判断を遅らせて痛い目を見た経験があると、同じ失敗を避けようとして、別の場面でも結論を急ぎがちになります。
不安感が強く続き、仕事や生活に支障が出ている場合は、耐性の問題として片付けず、専門家に相談してください(医師へ相談して)。
対策
鍵は、あいまいさを「放置」ではなく「管理下の保留」に変えることです。
あいまい案件の管理表
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 案件名 | 何が決まっていないのかを1行で書く |
| 分かっていること | 確定した事実だけを列挙する |
| 分かっていないこと | 不明点を列挙し、推測と分ける |
| 情報が揃う条件 | 何が、いつ判明するのかを書く |
| 決める期限 | この日までは結論を出さないと決める |
| 暫定対応 | 期限までの間、被害を広げない手を打つ |
運用の手順は、①週に一度、この表を見直す。②新しい情報が入ったら、事実の欄だけを更新する。③期限前に結論を迫られたら、表を見せて「決める日はここです」と説明する。
保留に期限と条件が付いた瞬間、あいまいさは不安の種から、経営の管理対象に変わります。
決められない経営者が弱いのではない。決める日まで耐えられない経営者が、会社を振り回すのである。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解く読みものをお届けしています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

コメントを残す