完璧主義|「完璧でなければ許せない」が、会社の速度と人を潰していく
ビジネスで言うと
完璧主義とは、完璧でなければ許せないという考え方の癖を指す言葉である。品質へのこだわりは経営の武器だが、完璧主義は似て非なるものだ。こだわりが「顧客のための水準」を目指すのに対し、完璧主義は「自分の不安を消すため」に完璧を求める。資料の細部に何時間もかける、出稿の直前まで直し続ける、部下の成果物を全て自分の手で直す。その結果、速度が落ち、周囲が委縮し、経営者本人は疲弊する。
特に厄介なのは、完璧主義の経営者の下では、部下が「挑戦」そのものを避けるようになることだ。失敗が許されない空気では、人は無難な仕事しか選ばない。品質を求めたはずが、組織の挑戦心と速度を殺してしまう。これが完璧主義の最大の代償である。
原因
完璧主義の根には、「不完全なものを出す=低く評価される」という恐れがある。過去に失敗を強く責められた経験、小さなミスが大事になった記憶が、「抜けがあってはならない」という警戒を育てる。真面目で責任感の強い人ほど、この癖は強い。
もう一つは、完璧が「コントロール感」を与えることだ。市場も相手も思い通りにならない経営の中で、資料の完成度だけは自分で制御できる。不安が大きい時期ほど、制御できる細部への執着は強まる。つまり完璧主義は、不安の対処法として現れる場合が多い。だから「手を抜け」と言われても緩まない。不安のほうが手つかずだからだ。
対策
直す対象は「水準」ではなく、「水準の使い分け」である。
| 仕事の種類 | 水準の決め方 |
|---|---|
| 契約・金額・法務 | 完璧を目指す。ここは譲らない |
| 顧客への成果物 | 合格ラインを先に決め、到達したら出す |
| 社内の資料・試作物 | 「6割で共有」を標準にする。早い共有が早い修正を生む |
さらに、部下への基準も言語化する。「ここまでは任せる、ここからは確認する」という線引きが言語化されれば、経営者の検品への執着は減り、部下の挑戦は戻る。自分自身の不安が強い時期は、細部への執着が増えることを自覚し、あえて「出す期限」を先に決めることも有効だ。
完璧主義は、品質への愛ではない。不安からの逃避であることが多い。経営者の仕事は、完璧な資料ではなく、前に進む会社を作ることだ。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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