オーバーワーク|仕事量が処理能力を超えたとき、最初に壊れるのは判断の質だ
ビジネスで言うと
オーバーワークとは、処理能力を超えた仕事量を抱え続ける状態を指す言葉である。過労が「結果としての疲弊」なら、オーバーワークは「量そのものが能力を超えている」という構造の問題だ。メールは常に未読が三桁、締切は常に複数同時、考える時間より処理する時間が多い。この状態では、どれだけ優秀な経営者でも、質の高い判断は出てこない。
恐ろしいのは、オーバーワークが「忙しさ」という日常の顔をして定着することだ。本人も周囲も慣れてしまい、「社長は忙しいものだ」で終わる。しかし、処理に追われる経営者は、会社の未来を考える席に座れなくなる。目の前の処理は回っても、数年後の会社を作る仕事は、永遠に後回しになる。
原因
原因の第一は、仕事の入口が無制限なことだ。経営者には、あらゆる相談、あらゆる承認、あらゆるトラブルが最終的に流れ着く。入口に選別がなければ、量は増える一方になる。第二に、断る・任せる・やめる、という出口の不足である。入ってくる仕事を全て自分の席で処理しようとすれば、能力の上限は必ず超える。
もう一つは、経営者自身の「処理すれば安心する」という心理だ。目の前の小さなタスクを片づける達成感は得やすい。だが、それに時間を吸われ、重い課題(事業の方向性、人の育成、仕組み作り)に手が届かなくなる。オーバーワークは、忙しさの中に重要な仕事の先送りを隠してしまう。
対策
対策は時間管理ではなく、仕事の入口と出口の再設計である。
- 自分の席に来る仕事を「自分しかできない」「任せられる」「やめるべき」に仕分ける。仕分け自体が、最初の経営判断である
- 承認や相談の基準を明文化し、基準内は現場で完了させる。経営者の席を「最終処理場」にしない
- 一週間の予定に、処理ではない「考える時間」を先に確保する。未来の仕事は、空き時間には入ってこない
- 新しい仕事を受ける前に、何をやめるかを決める。追加だけの経営は、必ず破綻する
- 疲弊感、眠りの乱れ、集中の低下が続く場合は、量の調整と並行して状態の確認も行う(医師へ相談して)
オーバーワークの経営者は、働き者なのではない。会社の未来を作る時間を、処理の山に埋めさせているだけだ。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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