過労|働きすぎで倒れるのは社員だけではない。経営者の過労は会社の事故だ
ビジネスで言うと
過労とは、働きすぎによる心身の疲弊を指す言葉である。長時間労働、休日のなさ、眠れないほどの責任。それらが長期間続いた状態だ。社員の過労は労務管理の問題として扱われるが、経営者自身の過労は、なぜか「美徳」の顔をして語られることが多い。
ここを間違えてはいけない。経営者の過労は、本人の健康問題にとどまらない。判断の質が落ち、感情の制御が利かなくなり、最終的には倒れて会社そのものを止める。会社で最も代替の利かない人間の過労は、最大級の経営リスクである。過労を勲章のように扱う文化は、社員にも「限界まで働くのが正しい」という誤った基準を示してしまう。
原因
経営者の過労の原因は、単なる仕事量ではない。「自分がやらなければ回らない」という構造が固定化していることだ。権限を手放せない、任せる人間がいない、休むと売上が落ちる。その全てが現実の一部だとしても、結果として一人の人間に負荷が集中し続ければ、心身は必ず悲鳴を上げる。
もう一つは、休むことへの罪悪感である。社員が働いているのに自分が休むわけにはいかない、休んでいる間に競合は進んでいる。この感覚が強い人ほど、過労の自覚が遅れる。疲弊は静かに進み、気づいたときには「朝、体が動かない」という形で現れることもある。強い疲労感が抜けない、体調不良が続くという場合は、我慢ではなく確認が必要である(医師へ相談して)。
対策
対策は、気合ではなく、負荷の分散と強制的な停止である。
| 過労の発生源 | 分散の手 |
|---|---|
| 自分しかできない業務 | 手順を文章化し、一つずつ任せる。完全に同じでなくてよい |
| 休めない予定 | 休日を「空いたら休む」ではなく、先に予定として確定させる |
| 終わらない一日 | 業務の終了時刻を決め、以降は緊急のみ対応とする |
| 判断の集中 | 金額や範囲の基準を作り、基準内は現場の判断で完了させる |
加えて、自分の状態を数字で見ることだ。月の労働時間、休んだ日数、睡眠時間。感覚は過労を過小評価する。記録は過小評価をしない。経営者こそ、自分の労働を「経営データ」として管理するべきである。
過労で倒れた経営者を、会社は誇れない。社長が長く走れる会社こそが、社員も長く働ける会社だ。
今日一日では、経営者と働く人のこころのテーマを、仕組みと心理で読み解いています。個別の相談は soudan@kyou-ichinichi.com まで。毎日の読みものはメールマガジンでお届けしています(登録は今日一日のサイトから)。

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